2012/02/15

運河が融けはじめました

花ってどうしてこうも静かに、
しかしドラマチックに散っていくのだろうか

もう過去何十年間も日々裏切られ続けているのに、いまだに信頼を寄せてしまう天気予報。昨晩は夢にまで登場しました。

だれにむかって言っていたのかは思い出せませんが、「天気予報によると明日の気温16.5℃だって!」と興奮する私。汗だくで目が覚めました。

朝運河をながめると、氷が融けはじめていました。

氷河が融けるときみたいな音が聞こえるのかな、グラスに入れた氷にウイスキーを注いだときのような音がするのかな、と楽しみにしていましたが、静かにゆるりと融けていくようです。

今日の運河
2月3日の朝の運河
合っているのかとても怪しい我が家の温度計で
ひさしぶりに見た気温0℃以上




2012/02/13

運河の上を歩く


南の国の、ある小さな島のお話。
島の中央には道が1本あって、
毎日、何人もの人がその道を通る。
道の両脇には椰子の木が茂っていて、
毎日、たくさんの実を落とす。 
ある朝、道を歩いていた男の頭をココナッツの実が直撃。
消えゆく意識の中、男はこう自分に問うた。
why me? ーなぜ私がこんな目に
そして男は息絶えた。

毎日たくさんの人が同じ道を通り、毎日たくさんのココナッツが落下するのに、なぜこの男にだけココナッツは直撃したのか。そのことについて考えるのが、君たちが今から学ぼうとしている文化人類学です。と、大学の授業で聞いた気がします。(たぶん勝手な解釈+記憶違いあり)

さて、連日寒い日が続くベルリン。ニュースでは「欧州大寒波」、「ドナウ川凍結」といった言葉を目にします。そしてついに、先日運河が完全に凍結しました。

スケートやそり遊びにいそしむ人びと、自転車で走っていく人、買い物袋を下げて歩く人、ベビーカーを押して歩いている人、スケートで駆け抜けていく人、急ぎ足で歩いて行く人。我が家のバルコニーからは、さまざまな人の往来をながめることができます。この運河は現在は夏に観光客を乗せた船が通るのみですが、凍結してその上を移動できるようになった今、本来の輸送ルートとしての運河の役割を果たしています。

運河を通って食糧品の買い出しに出かける人や、
自転車を輸送する人も
ある平日の昼。あいかわらず気温は0℃以下だけど、天気がいいのでお散歩へ。近所に運河が二手に別れるところがあるのですが、そこは今や車の心配をすることなく遊べる開けた空間となっています。太陽の光の元で、たくさんの人が運河の上に降りて歩き回ったり、スケートをしたりしていました。運河に降りるルートを探しながら歩き続けると、やっと階段を見つけたので降りてみました。

しかし、いざ降りてあたりを見回すと、だれもいません。しかも、太陽はどこへ?さっき通った場所にはあんなに人がいたのに、あんなに太陽が輝いていたのに。不安になったので、人びとがいた方へ移動することにしました。歩きながらふと浮かんだ物語が冒頭の男の話。もし落ちたら、消え行く意識の中で"why me?"と自分に問うたことでしょう。

週末、朝起きて運河をながめると、人、人、人。普段と比べるとアメ横なみの混み具合です。
妊婦じゃなかったら、
この子たちと一緒に背中すべりに
いそしんだことだろう
昨年の夏の夕暮れ時に
上の写真に写っている橋の上から撮った写真

今日は友人を近所の駅に送った後に、運河沿いをぶらぶら。道中、「ある理由」で帰路を急ぎたくなりました。しかし、運河を渡らなければ家には帰れず、橋がないと運河は渡れず、自分がいた地点はどの橋へも同様に遠く・・・。ひょいとあるアイディアが浮かびました。今だけ使える近道です。いやあ、便利、便利。でも、やっぱり早く暖かくなってほしい・・・。

運河の氷がいつ融けはじめるのかわかりませんが、融けるときの音を聞くのが楽しみです。そしてその音は自分の足元ではなく、バルコニーの上から、それもココアを片手に聞きたいものです。足場を失いながら、"Why me?"とならないためにも。

凍った運河の上でも
ビールを飲んでいる人がちらほら。
mr.
モッツァレラもそのひとりでした。
ああ、自分はドイツにいるんだな・・・と思った瞬間!