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2017/05/29

Marktschwärmer

私のお気に入りのヴィオレットという
種類のシュパーゲル。

ベルリンは連日30℃を超えています。それでも、家の中は涼しいし、日陰に入れば心地よいし、日本の30℃に比べるとかなり快適です。

桜も散り、最近まで若い緑だった木々の葉っぱもだいぶ立派な色になってきて、暦のうえではまだ春だけどここ数日のような暑い日も増え・・・。そう、今年もシュパーゲル(Spargel)の時季がやってきました。食べてますよー。毎日とは言いませんが、隔日くらいで。エマは先の穂の部分がおいしいということに気がついたようで、のんびりしていると穂だけ食べられてしまいます。

食べものといえば、最近私たちが使い始めたお買い物の仕組みがあります。その名も"Marktschwärmer"。この言葉、ため息が出るほどうまく発音ができないのですが、カタカナで書くとマルクトシュヴェアメアという感じの発音の単語です。Marktが市場、マーケットで、Schwärmerが愛好家、熱狂者という意味。

ウェブサイト上で会員になり、オンラインで注文と決済をし、近所の集合場所に指定された所に決まった日に取りにいきます。私たちの場合は、近所のオーガニック・カフェ&ベーカリーが集合場所。毎週日曜日の夜までに注文をし、火曜日の夕方5時から7時の間に取りにいく仕組みです。エマのお仕事は卵の容器を係のお兄さんに渡すこと。

Marktschwärmerのメリットはいくつかありますが、そのひとつは遠く離れたところで生産されたのではなく、近隣で生産されたものを購入できること。私たちの近所の集合場所に登録している生産者で一番遠いのは、約80km離れたところにある薫製の魚などを扱う生産者さんのようです。Marktschwärmerウェブサイトによると、ドイツの食材の生産地から食卓までの距離の平均は3600km。Marktschwärmerの場合、平均27kmだそう



今回この仕組みを利用しはじめたきっかけは卵でした。というのも、近所のよく利用するオーガニックショップの卵がどうも新鮮じゃない気がして、良い卵を手に入れることはできないものかと長い間探していたのです。卵を提供している畜産農家があったので、会員になり、注文をしてみました。割ってみたらとっても新鮮で、味も◎。
卵の色は3色。
青い卵は初めて見ました。

 卵の他にお肉もここを通して買っています。我が家では、家でお肉を食べるのは週に1回程度なので、食べるときはいいお肉にしようということで、最近お肉はMarktschwärmerの生産者からのみ買っています。値段は普通のオーガニックショップで売っているお肉よりも若干高いくらい。これまで、豚肉、鶏肉を試しましたが、両方とも本当においしかったです。特にドイツで買う鶏肉はパサパサしていることが多いのですが、とってもジューシーでした。

問題は、値段が高いこと。ジャガイモは1回試しましたが、野菜は消費量が多い分、やっぱり躊躇してしまいます。

こういう毎週決まってやることがあると、1週間がいかに早く過ぎていくかに驚かされます。 

 Marktschwärmerのウェブサイト
https://marktschwaermer.de/de-DE
 

2016/08/24

明日はきっと筋肉痛



明日はきっと筋肉痛です。・・・すでにふくらはぎに重たさを感じるし、歩くのもなんとなくぎこちなくなってきている気がします。少し無理をしすぎたかな?と言っても、マラソンを走ったとか、レガッタを漕いだとかいうわけではありません。

原因はこれです。


おうどんを作りました。「しの的エッセンin ドイツ」というブログがあるのですが、そこにある魅力的なレシピのなかでもずっと作りたかったもののひとつでした。「こうえん行こーう!」モードのエマは、私がキッチンで粉の計量を始めたとたん、ちょっと待った!という感じだったのですが、私がお湯で練った小麦粉を袋に入れて踏み踏み、踏み踏みし始めると、「エマも!」と手伝ってくれました。

おうどんはもちもちで、とってもおいしかったです。今週末は熱くなりそうなので、また作って冷やしうどんにしよう。

参考にしたレシピはこちらからどうぞ。
http://shinokichi.exblog.jp/12038816

2016/07/24

シーズンはとっくに終わったけれど


アスパラガスを束ねてあった輪ゴム。
ただの緑の輪ゴムに白いシンプルなフォントで
FRISCHER SPARGELの文字。
ドイツではっと目につくものはたいていこういうシンプルなもの

シーズンはとっくに終わったけれど、シュパーゲル(Spargel)の話を。

シュパーゲルとはドイツ語でアスパラガスのこと。ドイツに春を知らせてくれる食べもののひとつです。毎年4月に出回りはじめ、6月末にシーズンが終了します。長くて暗い冬の終わりを告げるからなのか、ドイツ人たちのシュパーゲル熱はすごいものです。そういう私もシュパーゲルがお店に並び始めるととっても嬉しくなります。

緑と白のシュパーゲルがありますが、私も含め、みんなの熱い視線は白いシュパーゲルのほうに向けられている気がします。ベルリンではベーリッツ(Beelitz)というベルリンから電車で2時間くらいの町のものが一般的。エッセンでは、バルベック(Walbeck)というオランダとの国境近くの町で採れたものがいたるところで売られていました。エッセンのマルクトで12〜13センチほどのとっても短いシュパーゲルが売られていて、生でも食べられるとのことで買ってみたのですが、これがとってもおいしかった。

味は、一言でいうと、バルベック産のほうが甘くて、ベーリッツ産のほうが苦いかなと思います。どちらが好きか?と言われると、とっても難しい選択だけど、私はベーリッツ産です。かじると感じる苦みにほどよい甘さがあとからついてきて、それがやみつきになります。ドイツの伝統的なレシピではくったくたになるまで煮るのですが、私はそれは好きではなく、皮をむいてさっと素揚げにしてめんつゆに漬け込むか、フライパンでオリーブオイルとバターで炒めて食べます。私たちが気に入っているワインで"Walfried Sander"という銘柄があるのですが、今年はそこのシュパーゲルのためにつくられたという白ワインを見つけたので、それと一緒にいただきました。


2016/07/13

牛の心臓



我が家のちいさな畑では今、「牛の心臓」という種類のトマトがすくすくと育っています。このドキッとさせる名前の由来は形。つるっとした実ではなく、たてに何本もくびれの入った実がなります。牛の心臓の実物を見たことはないけど、形が牛の心臓に似ているのがこのトマトの名前の由来です。いったいどうしてあんな形になることにしたのか・・・。自然って本当に不思議です。数年前に友だちの家で食べてすっかり好きになった牛の心臓は、果肉がどっしりとつまっていて食べごたえがあります。

実はこのトマトの苗は、5月末まで半年住んでいたドイツ西部の町エッセン(ベルリンから車で5、6時間)から運んできたもの。エッセンで住んでいた家の近くでは週に2回マーケットが開催されていて、そこのオーガニッックbio)のお店でよくお買い物をしていました。ちょうどエッセンから引っ越す日の朝に最後のお買い物をと出かけると、「牛の心臓」が売られていました。大喜びで買っている私を見て、店主が「苗もあるわよ」と見せてくれました。チャイルドシートやその他の荷物でそれでなくとも車は満杯の予定。でも私の足の間にスペースがある!と、mr. モッツアレラが「え?本当に?」という困惑の表情を浮かべているのをよそに運んできました。無事にここまで育ってくれて何よりです。

上の写真は6月末の様子。まだまだとってもちいさいのに、すでにきゅっとくびれているのが、かわいらしい。収穫まではあとどれくらいかな。へたの大きさから見ても、その頃にはけっこうな大きさになりそう。ミニトマトはことごとくエマに食べられているので、これは私も呼ばれたいなあ。

ここ数日、おーい夏はどこへいった?という陽気のベルリン。戻ってきてくれるかな、夏。  


突然のどしゃぶりの後、
晴れ間からお日様の光が届きました。

2016/07/06

そら豆 Dicke Bohnen



食卓や市場にならぶ野菜や果物が夏の到来を知らせてくれる今日この頃です。最近はよくそら豆が我が家の食卓に登場します。ドイツ語ではDicke Bohnen。Dick(e)が太い、Bohnenが豆なので、「太っちょ豆」とでも言いましょうか。 

そら豆のさやを開くときはいつも、ちょっとだけうしろめたい気がします。というのも、さやの中はあまりにふわふわで、豆たちにとってはさぞかし快適な寝床だろうな、と思うから。私がさやを開くのはまるで、子どもがすやすやお昼寝している部屋のカーテンをしゃーっと開けるような感じで申しわけないなあ、と。

昨日も市場で、朝畑から収穫したてというおいしそうなそら豆を見つけたので購入しました。夕方さやを開けていくと中にイモ虫が。さやの中で心地よく過ごしていたのは豆だけではなかったようです。

さて、「のんびりと、思いつくことを・・・」と書いたのが去年の5月。あまりにのんびりしすぎてしまいました。昔から日記帳を年末に見返すと、元旦と月初めと自分の誕生日くらいにしか書いていない、つまり日記を書き続けることができない私でしたが、いやはや人は変わらないものです。

2012/03/03

ミュンヘンへ小旅行

ミュンヘンへ向かう車窓からの一枚
ミュンヘンへ3泊4日の小旅行。目的は出産予定まであと1ヶ月の友人夫婦を訪ねることです。

ミュンヘンはドイツの中でも大きな都市のひとつですが、車で1時間でも出かけると山あり、湖ありで自然が広がっています。ベルリンにも湖がありますが、大きく違うのは景観の中に山があること。低い丘でもいいので景観に何か凹凸が欲しい私にはなかなか魅力的。でも、都市としてはベルリンの方がずっと肌に合います。

さて、家でサッカー観戦を希望する男性陣を説き伏せて、Schlierseeという名前の湖に出かけ、そばにある低い山に登ってきました。湖を眺めながら、牧場の中に通るトレッキングコースを歩くこと約1時間半で頂上に到着。頂上にはお城の跡がありました。どこの国でも権力者は、労働者が悲鳴を上げたくなる場所に何かを建てたがるものですね。晴天で、長袖のシャツの上にフリース一枚でちょうどいい快適な陽気。いたるところに雪が残っていて、色のコントラストがとってもきれいでした。

帰りに新鮮な牛乳を手に入れて、チーズをつくろう、ということになりました。
私は温度を見ながら牛乳をまぜる係りになったため、写真を撮っている余裕がなく途中の写真がありませんが、できあがりがこれ。自家製フェタチーズです。


トレッキングの翌日は今年初のバーベキューで
自家製フェタのホイル焼き
にんにく、ローズマリー、オリーブ、チリを少々
毎日食べたくなるくらいのおいしさ!
ところで今回チーズをつくるにあたって、牛乳について少しだけ詳しくなりました。ホモジナイズド牛乳と、ノンホモジナイズド牛乳についてです。この言葉、耳にしたことがありますが、その実体についてはよくわかっていませんでした。簡単に説明するとこういうことだそうです。

絞ったばかりの牛乳を置いておくと丈夫に脂肪球と呼ばれるクリーム層ができる。脂肪分が分離しないようにこの脂肪球をこなごなに壊し、成分を均一にすることを「ホモジナイズする」という。つまりこの行程を経た牛乳は「ホモジナイズド牛乳」。この行程を経ていない牛乳は「ノンホモジナイズド牛乳」です。

消化吸収などの観点からすると、ホモジナイズド牛乳の方が脂肪球が細かくなっているので、消化吸収が早くなる。その反面、脂肪の膜で保護されていたタンパク質などが急速に体内に取り込まれるため、お腹を壊したり、アレルギーの原因になることも。一方ノンホモジナイズド牛乳は、胃液や消化酵素の働きでゆっくり消化吸収される。乳糖などの栄養素が脂肪球の中におさまっているので、お腹を壊さない場合が多い。そういえば小学校の頃、給食の牛乳が飲むとお腹が痛くなる、というクラスメートがいました。

市場の観点からすると、ホモジナイズド牛乳の方が市場効率がいい。なぜなら、ホモジナイズを行うと、工場での高温殺菌などの熱処理が円滑に進み、扱いやすくなり、生産効率が上がるので大量生産ができるから。日本でも、どうやらドイツでも現在一般的に市場に流通しているのは、ホモジナイズド牛乳です。

今回手に入れたのはノンホモジナイズド牛乳。翌朝友人が絶賛していたので、コーヒーに少し入れてみました。普段は牛乳が入っているコーヒーは好きじゃない私でも「おいしい!」と思いました。

さらに今回私たちが買った牛乳をつくりだしてくれた牛は、冬の間、刈り取った後に乾燥させて大きなビニールにくるんで保存している飼料を食べているそう。日本でも、牧場でビニールにくるまれた大きな丸い固まりが転がっているのをを見たことがあります。この飼料を食べている牛から絞る牛乳は、特定のチーズをつくるには発酵がうまくいかない場合がある、とか。つまり、その牛が何を食べているかによっては、作れないチーズがあるということでした。チーズ文化が、酪農のあり方と密接な関係があることがうかがえます。

発酵食品は本当に奥が深いです。



2012/02/28

Berlin Miso



すでにすっかり遅くなってしまった味噌づくり。3月はじめに数日間ミュンヘンへ出かける予定になっているので、その前には!ということでついにお味噌を仕込みました。

これまでの味噌づくりと違うのは、まずは材料です。
麹は生麹ではなく、日本からもってきた乾燥麹。塩と大豆は近所のオーガニックショップで購入。塩は海塩ではなくヒマラヤの岩塩、大豆は日本の国産大豆ではなく中国産の大豆を使用しました。フードマイレージの高いお味噌になってしまいました。来年は材料をもっと厳選したいものです。

あるお味噌屋さんのサイトに「味噌屋が教える失敗しない手作りみその作り方」という情報があったので参考に読んでみると、味噌づくりで一番大切なのは豆の炊き具合だそう。食べてもおいしい大豆であることが手づくり味噌の材料として良い大豆、ということだったので、つまみ食い(お料理の醍醐味)。
・・・合格でした。

塩きり麹につぶした大豆を混ぜて、混ぜて、混ぜて。これも新しい試み、琺瑯の容器につめて完了です。あとの仕事は微生物たちに託します。

そういえばこれまでと違うことといえば、何よりも日本とは気候が違います。
さて、どうなることやら!

偶然にもかけていたエプロンに
味噌瓶の図柄を発見

2012/02/19

つかみどころがないという魅力



12月にベルリンに戻ってくるとき、乾燥麹をもってきました。2月ももう後半。そろそろお味噌を仕込まないと。

ベルリンで最初の味噌づくり。麹はあるし、大豆も手に入る、しかし容器の問題がありました。日本で定番のあの茶色い瓶のようなものを探しましたが見つからず。いろいろ調べて、ベルリンで手に入るもので最適なのは琺瑯素材だということに。インターネットで見つけたLIVという琺瑯製品専門のお店に出かけてきました。びっくりするくらいかわいいお味噌入れを手に入れましたよ。微生物たちがせかせか(それともゆるゆる?)働いて完成させてくれる発酵食品はつかみどころがなくて、そこが魅力的です。ベルリンの気候では、どんなお味噌が完成するでしょうか。



ベルリンは12の区(Bezirk)に分けられていますが、琺瑯屋さんがあるのはパンコー区(Bezirk Pankow)の、プランツラウアー・ベルグというエリア。家からはバスと電車に乗って45分くらいの距離です。

大都市ベルリン。エリアによってさまざまな表情を見せてくれます。駅の外に出てまず気がついたのが、落書きがほとんどないこと。我が家の近所は芸術的なものから、あちゃーというものまで、多種多様な落書きがあります。カフェやお店の外観は町の雰囲気をつくりだしますが、駅の周辺にはDEAN & DELUCAのような清楚な感じの食材屋さんやカフェがありました。我が家の近所にあるカフェはもう少し庶民的というか、まったりしているというか。また、近所でも北側に行くと、そこはトルコをはじめとするアラビア文化圏からの移民がとても多いエリアで、彼らの服装、とびかう言語、お店の看板や外観などが独特の雰囲気をつくり出しています。

「ベルリンらしさって何?」と聞かれたら、その答えはいったいなんでしょうか。ベルリンは本当に大きな町で、私はそのほんの一部しか知りませんが、それでも歩けば歩くほど、知れば知るほど、その答えがわからなくなります。この町は、だからこそ魅力的なのかもしれません。

2012/01/28

マルクトへ行くーWochenmarkt Winterfeldtplatz

ついに数日前、運河に薄氷がはりました。来週からは寒い日が続くようです。

今日は、ベルリンに数多くあるマルクト(Markt=市場)のひとつへ行ってきました。テンペルホーフ=ショーネベルグ(Tempelhof-Schöneberg)という行政区にある"Winterfeldtplatz"というところで、毎週水曜日と土曜日に開催されているマルクトです。

出店数全部で50くらい。食べものを売る店と、衣料品や陶器やその他雑貨を売る店が並んでいます。私が見つけたかぎりでは、その中にパン屋さん6店、チーズ屋さんが5店、ハム/ソーセージ屋さんが4店もありました。さすがドイツです。

野菜はオーガニック(Bio)のお店がいくつか出ていましたが、一番ちいさくて、ひとり寒そうにしているお兄さんのところで購入。

このお店はジャガイモとリンゴの専門店。6種類あった中からMarabelleというジャガイモを選びました。どんな調理法にも合うそう。

マルクトの魚屋さんでは薫製の魚もよく見かけます。一番左はサバの薫製。大好きなオヒョウもありました。


今日のお目当てのひとつは、手頃で、できればドイツ近郊で獲れた魚でした。今日はマスを購入。明日、ホイル焼きにしていただきます!ちなみに二尾で約4ユーロ。

もうひとつ、今日のお目当ては、普段行くお店では扱ってない種類のパン。ゴマやカボチャの種など数種類がまわりにびっしり、生地にはニンジンが練り込んであります。

2012/01/18

before and after

お雑煮に使った大根より育つ葉
日本の大根よりばさばさしてた

12月にドイツに戻ってくるとき、お正月の定番お餅を含め、日本の食材をいくつかもってきました。お餅、納豆、とろろ、あんこ。これらは私がこれまで会った多くの欧米人が苦手とする食べもので、mr.モッツァレッラはどうだろうと思いつつお餅をお雑煮にしてみたら、御多分にもれずダメでした。人が何かを食べる前と後で顔色が変わっているのを久しぶりに見ました。

ふと思い出したのがカナダのユーコン準州でゴーファー(プレーリードッグ)を食べたときのことです。大学で専攻していた文化人類学の授業の一環として、カナダの先住民族を訪ねる旅がありました。そのときに訪れた民族のひとつが、ユーコン準州で暮らすトショーニ民族。ウェルカムパーティーで彼らがふるまってくれたのが、ゴーファーの丸焼きでした。

バットの上に並べられたゴーファーの亡がらたち。私の記憶の中では、お尻から串刺しにされ、目を閉じ、うなだれ、しかし手はかわいらしく胸の前でグーにしてます。それらを一匹ずつ火あぶりにし、焼け焦げた毛をナイフでこそげ落としていきますが、ちょっと深くそぎすぎると内臓が飛び出してくることも。雄大なユーコンの景色の中で嗅いだ、あの毛が焼ける臭いは忘れることができません。その後どのようなプロセスを経たのかは不明ですが(人生には知らなくていいことがある、ということもこの旅で学びました)、夕方パーティー会場へ着き、ドアを開けるやいなや鼻に飛び込んできたのはあの臭い。そして視界に飛び込んできたのはあの姿でした。

できればなかったことにしたい・・・。しかし、私たちには断るすべはありませんでした。なぜなら、ゴーファーはトショーニ民族の大切なおもてなし料理だったからです。目の前にいる友人たちの、食べる前と食べた後ではすっかり変わり果てた顔色が忘れられません。きっと私の顔色もカメレオンのように変化していったはず。

この話をmr.モッツァレッラにして、「あのすごい臭いと味のゴーファーと、ほとんど味のないお餅を比べるのもね・・・」と言うと、まさにその味がないのが問題だとのこと。たしかにドイツ人は味の濃い食べものが好きなので、繊細なだしの味を楽しむお雑煮自体苦手かもしれません。ましてや初めて体験するあの食感。

私のお餅を使ったお気に入りレシピはこれ。フライパンでチーズをのせて焼き、最後にお醤油をじゅっとかける食べ方。たまたま家にあったのがゴートチーズ(ヤギのミルクでできたチーズ)で、なんとも不思議な組み合わせなかんじがしましたが、味には満足。ちなみに日本でゴートチーズというと特別で値段が高いイメージがありますが、ドイツでは他に無数にあるチーズと同じ地位にいます。

あれだけしっかり味がついていればmr.モッツァレッラも大丈夫かもしれないけど、もうお餅というだけでお箸をつけることはないでしょう。でも、いつか私たちが日本でお正月を迎えることがあったら、そのときは食べなくてはいけませんよ。私たちの大切なお正月のおもてなし料理ですからね。


あえてチーズは完全にとろけさせず